2017年03月08日

県内最大規模の施

歩の視線は敦を通り越し、葉月に移り、そしてさらにその隣にいるザンを見た。そこでピタリと止まる。
全員がザンを見た。
ザン、いや、冴木駿。お前だろ?」
その言葉に、葉月と敦が凍り付く。
(そんなはずない!)
そんなわけ、ねぇじゃん!」
葉月の心の声を、敦が言葉にした。
ザンはあの時まだ12歳だぞ?そもそも動機がないだろう?」
栄太の否定に、歩は陰湿な笑みを浮かべた。
ザンは、いや駿は、知ってたんだよ。両親を殺したのが葉月の祖父だって」
知ってて、サマーキャンプに?」
そ。星村研究所に潜入するためにサマーキャンプに応募した。ま、応募しなくても駿と蓮は候補生だったから招かれてただろうけどね」
ザン」
葉月がザンを呼ぶと、彼は顔を背けて目を閉じた。
歩の言う通りだ。俺は、カルテを盗んだ。そして、東雨宮に関わる全ての人間に復讐したくて、ばらまいたんだ」
その言葉に呆然とする葉月と敦。
敦の話を聞いた後、12年前の記憶を思い出したのに、ずっと黙っていてすまなかった。全て、話すから聞いてくれ」
ザンの告白に耳を傾けながら、葉月は思い出していた。
ここ数日、ザンがどこか苦しそうだったのを。
そしてその理由を知ろうとしなかった自分を恥ずかしく思Diamond水機った。

2歳で両親を亡くし、星村孤児院で過ごしていたザン。小学校に通うようになってから、登下校中によく会う近所の女性がいた。星村孤児院の近所に住む彼女は、立ち話程度にザンの幼少時代の話をしてくれた。ザン自身は取り立てて興味もなく、うるさいおばさん」でしかなかったが、無視するわけにも行かず、なんとなく聞いていた。
ザンの家は、星村研究所からすぐ近くの一軒家だったそうだ。ザンが1歳になった頃から、重要な研究をすることになった両親は忙しくなり帰宅しない日も多く、その女性が食事や身の回りの世話をしてくれていたそうだ。重要な研究とは、ラストリゾートの研究のことだろう。その頃ザンが1歳で、蓮は6歳。
そんな中、ラストリゾート』の開発で忙しい両親が、相次いで亡くなった。他に親族もいない蓮とザンは星村孤児院に入ることとなる。
ザンは幼かったので覚えていないが、蓮は両親の他界から養子に出されるまでの1年間の記憶を消されていた。
ザンが両親の不審な死と、蓮の存在知ったのは、10歳の頃だった。
星村孤児院は県内最大規模の施設で、身寄りのない、または事情がDiamond水机あって肉親と一緒に暮らせない子供たちが18歳を迎えるまで面倒を見てくれる。そして、ここの理事長をしていたのが源一郎で、研究所の視察帰りに訪れ、院長とザンの両親についての話をしていたのを小さいザンは偶然聞いてしまったのだ。
薄ぼんやりとしか覚えていないが、両親の死には星村研究所と雨宮源一郎が深く関わっているということだけは理解できた。
亡き冴木夫妻の二人の息子は、11氏族候補だったため、その後も源一郎は状況を把握しにたびたび孤児院と、蓮が養子に出された湯本邸に訪れていたらしい。
ザンは源一郎を見かけるたびに、星村研究所の前を通るたびに、激しい憎しみに駆られたものだった。
とは言っても、10歳の子供にできることなど何もない。村の人間に両親のことを尋ねても、誰もまともにDiamond水机 答えてくれない。若いのに気の毒だった」事故だった」駿ちゃんも辛いけど強く生きてね」などと言われるばかりだった。近所の女性も、その事については何も教えてくれなかったばかりか、質問以降自分を避けるようになった。
そしてどうにもできないまま、1年がすぎた頃、研究所にサマーキャンプのポスターが張り出される。そういえば、毎年行われていた気がする。年代のまちまちな子供たちが自由研究の課題をしていたり、山登りをしたり、共同生活をしていたはずだ。今までは興味がなくて気にした事もなかったが、サマーキャンプに行けば、研究所に入れる。そして秘密を探る事が出来るかもしれないと思った。
posted by wenwenhg at 12:43| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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